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「2011 FRANTIC UNDERLINES」高橋淳・田附楠人・杉本克哉・村山誠・笹山直規・佐藤誠高・毛利太祐

ヨーロッパでの主要なアートイベントと、今後アジアで開催される、一連のアートフェアの間に、Frantic Galleryはアニュアル展として、展覧会を開催し、専属作家の今年の更なる挑戦と、我々の新たな作家とのコラボレーションの結果を同時に発表致します。

アートフェア東京と同時に開催することで、多数のインターナショナルなビジターを期待しつつ、7名のアーティストをギャラリーという一つの屋根の下に集め、彼らが到達した結果と今後の制作における方向性に下線、アンダーラインを引きます。そして、「2011 FRANTIC UNDERLINES」展は大きなプレビュー展という役割も持っています。本展覧会後、Frantic Galleryはアート台北に、笹山直規、佐藤誠高、高橋淳の3名の作家の作品を発表する「モノクロとカラーで表現された、不気味さと哀しみ」展として参加し、中国本土で開催されるSH Contemporary Art Fairでは、毛利太祐、村山誠、杉本克哉の新作を発表致します。これらのアジアでの発表を控え、大プレビュー展として日本国内のキュレーター、プレス、美術を愛する皆様へ、是非本展をご高覧頂きたいと存じております。

展覧会の延期と東京の悲観に暮れたムードの後、Frantic Galleryは大きなグループショーを開催し、今後の美術について共に思考を巡らせる名前に2011のアンダーラインを引きます。

Franticは、近くから見ると、油彩のカラフルなチューブの交錯に見え、距離をおくことで豊かなキャラクターと複雑な状況を表す具象イメージに見える、オイルカーペットの絵画を、油絵具を搾り出す手法で制作する、高橋淳にアンダーラインを引きます。

一つの作品の中に、子どものような深い感覚と感情を織り込む点は高橋の才能の一つです。彼の作品には、単純さと柔軟性、そして、緊張感と緊迫感があります。高橋の作品の豊かな色彩は、描かれた主人公の悲しみを決して拒絶しません。作家はアクリル絵の具と油絵具の両方で制作しますが、筆は用いず、タッチや筆跡を残すことはありませんが、それでありながら絵画の物質性を強調しています。彼の作品において、油彩は表現の媒体と同時に対象そのものです。層となった絵画を保護するためのコーティンググロスが施された、高橋の作品は成長を繰り返しつつも、カンヴァスの地である白い部分はイリュージョンとして驚きをもたらす力と、視覚的に静的な力を持ち、ボリュームをもった搾り出された油彩の網目と対話します。高橋の作品は「新しいテクニック」と「感情的なアドベンチャー」が合体し、「形」と「内容」というカテゴリーを分割させない作品の例の一つです。

Feel You as Me
2011
oil on canvas
180x120
AT_11002
available
Feel You as Me (detail)
2011
oil on canvas
180x120
AT_11002
available
Feel You as Me (detail)
2011
oil on canvas
180x120
AT_11002
available
Feel You as Me (detail)
2011
oil on canvas
180x120
AT_11002
available
Heart's Place
2010
oil on canvas, coating
162x91
AT_10001
available
Heart's Place (detail)
2010
oil on canvas, coating
162x91
AT_10001
available
Heart's Place (detail)
2010
oil on canvas, coating
162x91
AT_10001
available
Heart's Place (detail)
2010
oil on canvas, coating
162x91
AT_10001
Private Collection, Germany

Franticは型にはまらない絵画としてのテクニックによって、洗練された強烈なイメージを表現する作家、田附楠人にアンダーラインを引きます。彼は、透明のアクリル板を削り、彫られた面へアシッド色のアクリル絵の具を流しこみ、作品の裏側を展示します。この方法により、作家は作品の表と裏、ポジティブとネガティブという考えを転覆させます。私たちが目の前にするのは、作品の裏側であり、透明なアクリルを透けて、カラフルな面を見ることができます。いくつかの作品においては、鏡を制作している側に貼り付けることによって、絵画の表面を開示し、絵画の両面を合わせつつ、視覚的経験を、私たちが対峙する表面に浮かび上がらせます。

最近、田附はグリッドのパターンを使う作品の制作を始めました。グリッドは上で述べた手法を発展させつつ、より複雑な、新たな線や深み、関係性を孕んだ作品となっています。このように、田附は平面美術の構造とトポロジーに対する実験を続け、伝統的なファインアートに対する根本からの新しいアプローチを提案しています。





















Franticは、小さな人形と心のこもった愛情に溢れたファンタジーの世界を、子供らしくないテクニックを用いて描く作家、杉本克哉にアンダーラインを引きます。その中には、どこか不気味な感覚を感じることもあるほどです。

杉本は数えきれないほどのカラフルな古い玩具とミニカーのコレクションを持っており、それらを自身の作品の二次元に落し込みますが、触覚を持った三次元的要素、例えば「甘い触感」「かわいらしいボリューム」「愛すべき表現」を同時に強調しています。杉本はハイパーリアリストのテクニックをもって制作していますが、その主な特徴を発展させています。第一にクラシカルなフォトリアリストと同様に、彼は反射と光の動きに集中しながらも、彼の作品における輝きは果実やスイーツにおける発光であり、その視覚的な効果は解剖の次元まで影響し、視覚と精神の両面において「過度に甘い」感覚を引き起こします。

第二に、彼は三次元の表現に力を入れつつ、同時に二次元上の相互作用を反転させます。日本の伝統的な絵画にヒントを得た、彼の作品における雲とスポットの深みと影のイリュージョンが作用しあいます。この杉本のアプローチは、一つのカンヴァスに平面性とダイナミズム、現実的なボリュームと、想像上の空気を統合させています。

Dreamer
2011
oil on canvas/panel
130.3x162
KS_11002
Private Collection, Japan
Dreamer (detail)
2011
oil on canvas/panel
130.3x162
KS_11002
Private Collection, Japan
Dreamer (detail)
2011
oil on canvas/panel
130.3x162
KS_11002
Private Collection, Japan
Dreamer (detail)
2011
oil on canvas/panel
130.3x162
KS_11002
Private Collection, Japan
Balal
2011
oil on canvas/panel
259x194
KS_11001
Private Collection, Japan
Balal (detail)
2011
oil on canvas/panel
259x194
KS_11001
Private Collection, Japan
Balal (detail)
2011
oil on canvas/panel
259x194
KS_11001
Private Collection, Japan
Balal (detail)
2011
oil on canvas/panel
259x194
KS_11001
Private Collection, Japan

Franticは花の記録という昔からの伝統をデジタル世代において、コンピューターによって生み出すボタニカル・ドローイングを制作する村山誠にアンダーラインを引きます。

モダニズム以前の視覚性は、最新のテクノロジーと出会い、自然の形態は科学的な鋭さと、記述においての精密性と出会います。"Commelina Communis"(ツユクサとして知られる花)という花に捧げられた新しいシリーズにおいて、村山は大きなスケールでの3つの異なる視点(トップ、フロント、サイド)から見た一つの花を描き、白と黒のバリエーションの背景上で展開しました。彼は自らの技法を発展させ続けながら、多数のデティール(例えば、つぼみや雄しべ、花弁)を花全体のスケッチに加えます。そして、別のパーツに色を用い、花の透明な構造をより錯綜させ、魅惑的に創造します。

Franticは、3月11日に日本で起こった震災と原発事故の問題に関して思考を巡らせている作家、笹山直規にアンダーラインを引きます。黒い水彩で描かれた「Black Rain」シリーズは、避難区域となった原発から30km圏内に残されたペットや家畜の餓死を悲しみを持って描いた作品です。作品名が示すのは放射性物質を含んだ雨のことであり、悲惨な事故を象徴するものであります。「Once Again」という作品は「日本人が放射能問題の経験をもたいない」という幻想に反発し、東日本大震災で最も大きな被害を受けた宮城県女川市を舞台に、第二次世界大戦時に原爆が落とされた広島と長崎の歴史を合わせながら、放射能の影響によって生まれた背景を持つゴジラを同画面に描いています。笹山の作品は、放射能に関するトラウマをマゾヒスティックに繰り返す性質に言及したものです。

Franticは、自らのハイパーリアルのテクニックに磨きをかけ、ドローイング(正確な線など)と絵画的(筆跡とスポット)要素を融合と、鋭利な不気味さが同居する佐藤誠高の新作、「Pleasure on a Palm」にアンダーラインを引きます。

佐藤は「子どもとその周囲」というテーマにおいて制作を続けていますが、新しい要素を持ち込んでいます。まず、彼はステージを創造します。最近の作品における背景のカーテンは、主人公を小さな空間に閉じ込め、不安と不吉な印象を与えます。そして、「Pleasure on a Palm」は上昇の効果を表します。5つのうさぎの風船は子どもの腕に結ばれており、風船は子どもをマリオネットのように支配しているように見えると同時に、逆にも見えます。対立する人形と人間、主人と奴隷、自然と人工が絡み合い、見れば見るほど、目の前にする者を引き込みます。

Franticは、鉛筆で身体を開き伸ばし「スキンポートレイト」における新たなレイアウトの伝統を生む毛利太祐にアンダーラインを引きます。人間の内的な世界は、毛利の興味の対象にありません。「解剖上の形式主義者」でありながら、毛利は「内的な世界」を覆うものに人間が持つ最も外のレイヤー、つまり、皮膚に興味を持ちます。毛利はハイパーリアリズムのテクニックを用いながら、最終的に「性格を持ちそうなもの」となる皺やシミなどの欠陥に注目し、鉛筆でのドローイングを制作します。最近の彼の新作において、作家は「反人間主義」の制作上のスタンスを押し続けます。彼は「魂の鏡」である目と、物理的な意味でも身体の内への入り口である口と鼻を描き落とします。解剖学的かつ精神的な意味においての「内的な世界」を見せることなく、毛利は人を「開き」、身体の表面を伸ばし、上層部である皮膚としての人間の自我を表現し、「皮膚としてのイメージ」を追求します。

高橋淳

1979
Born in Saitama, Japan
2004
Tama University of Art, Oil Painting Department, B.A.

Solo Exhibitions

2010
"Thank you for Being Here", Gallery Fukuda, Osaka
2010
"Solo Show", Gallery Trinity, Tokyo
2008
"Solo Show", Mott Gallery, Tokyo

Selected Group Exhibitions

2012
"OUT of FLAT!", Galerie Hengevoss Duerkop, Hamburg, Germany
2011
"Alternative Lines", Frantic Gallery, Tokyo
2011
"On Both Sides of The Figure. Japanese Contemporary Art in Double Movement to Abstract and Hyperreal", THE BARRACK Temporary Museum for Contemporary Art, Tokyo
2010
"Concentration of Existence", Harmas Gallery, Tokyo
2010
"Ushiku Biennale", Ibaraki
2010
"PREMIER SELECTION SHOW", Tobin Ohashi Gallery, Tokyo
2009
"Three Person Show", Gallery Trinity, Tokyo
2009
"Portraits", Asian Collection Contemporary Art Gallery, Tokyo
2009
"Unbleached Vol.5", Gallery Trinity
2009
"REAL OSAKA", BUNKAMURA Gallery, Tokyo
2008
"Portrait Show: Someone to Make You Smile", Asian Collection, Tokyo
2008
"Exhibition of Young Artists Small Works", Yokohama Red Brick Warehouse, Yokohama
2007
"Tokyo Wonder Wall", Museum of Contemporary Art, Tokyo
2007
Kobe Art Center, Tokyo
2006
"Japan and Korea Cultural Exchange Show", Galerie KUSABUE, Nagoya
2005
Omotesando Gallery, Tokyo

田附楠人

1982
Born in Osaka, Japan
2007
Tama Art University, Department of Graphic Design, B.A.
2010
Tama Art University, Department of Painting, M.A.

Solo Exhibitions

2010
"Structure beyond Function", Traditional Japanese Sake Storehouse, Kamakura
2009
"Tazuke Cousteau Solo Exhibition", ANOTHER FUNCTION, Tokyo

Group Exhibitions

2012
"OUT of FLAT!", Galerie Hengevoss Duerkop, Hamburg, Germany
2011
"Alternative Lines", Frantic Gallery, Tokyo
2010
"2010 FRANTIC UNDERLINES", Frantic Gallery, Tokyo
2009
"circle", CCAA, Tokyo
"Wakuraha", Gallery .b.Tokyo, Tokyo
"Graduation Works Exhibition",The National Art Center, Tokyo
2008
"no border", Tama Art University Gallery, Tokyo
2007
"Graduation Works Exhibition", Tokyo International Forum, Tokyo

杉本克哉

1984
Born in Tochigi, Japan
2007
Tokyo Gakugei University, Art Education Department, B.A.
2009
Tokyo Gakugei University, Art Education Department, M.A.
2010
Tokyo Art University, Fine Art Department, M.A.

Selected Group Exhibitions

2011
Graduation Works Exhibition, Tokyo Art University, Tokyo
2010
"29th Sompo Japan Foundation Selected Works" Exhibition, Tokyo

Awards

2010
Ataka Prize, Tokyo Art University, Tokyo

村山誠

1984
Born in Kanagawa
2007
Miyagi University, Information Design Dept., Spatial Design course, B.A.
2009
Institute of Advanced Media Art and Sciences (IAMAS), Media Expression Dept., completed.
2009-
2010
Researcher at IAMAS

Solo Exhibitions

2011
"Inorganic flora", Frantic Gallery, Tokyo

Group Exhibition

2012
"OUT of FLAT!", Galerie Hengevoss Duerkop, Hamburg, Germany
2010
"2010 FRANTIC UNDERLINES", Frantic, Gallery, Tokyo
2009
"Exhibition of Objects Under Observation"(with Toshitaka Mochizuki), art project frantic, Tokyo
2009
"My Favorite Things, Unseal Contemporary and art project frantic Joint Exhibition", Tokyo
2009
"Art Award Tokyo Marunouchi 2009", Gyoko-dori Underground Gallery, Tokyo
2009
"PLAYING BACK SURFACE Ⅱ - digital images of contemporary art - ", Toyota Municipal Museum of Art Civic Gallery, Aichi, Japan
2009
"IAMAS 2009", Softopia Japan Center Builiding, Gifu, Japan
2008
"OGAKI BIENNALE 2008", Takaya-cho Underpass, Gifu, Japan

Awards

  • Asia Digital Art Award

笹山直規 Naoki SASAYAMA ( a.k.a. Soda hiebie)

1981
Born in Shiga, Japan.
2005
Graduated from Osaka University of Arts.

Solo Exhibitions

2012
"The Catastrophic Spectator", Frantic Gallery, Tokyo
2010
"The Scene of Accident" Frantic Gallery, Tokyo
2006
"The Creation", Gallery Iteza, Kyoto
2005
"Did my time", Gallery Iteza, Kyoto
2004
"Heart full of pain", Gallery Iteza, Kyoto
2003
"Boys don't cry", GUILD Gallery, Osaka

Group Exhibitions

2011
"2011 FRANTIC UNDERLINES", Frantic Gallery, Tokyo
2010
"2010 FRANTIC UNDERLINES Part 1", Frantic Gallery, Tokyo
Oxidized Reality, The Museum of Modern Art, Gunma2010
"frantic drawings", Frantic Gallery, Tokyo.
2009
"TANAGOKORO 9" Radi-um -Roentgenwerke, Tokyo.
2008
"Moeglichkeit", Radi-um -Roentgenwerke, Tokyo.
"Negative/Art Vol.5", GEISAI Museum2, Tokyo.
2007
"Negative/Art Vol.4", Osaka Contemporary Art Centre Osaka.
"Negative/Art Vol.3", Gallery Wks, Osaka.
2006
Vanilla Gallery, Tokyo.
"Negative/Art Vol.2", Dohjidai Gallery on Art, Kyoto.
2005
"Negative/Art Vol.1", Dohjidai Gallery of Art, Kyoto.
2003
"Dot", CASO, Osaka.

Important Private and Public Collections

The Museum Of Modern Art, Gunma

佐藤誠高

1980
Born in Aichi
2006
Tokyo Art University, B.A.Design Arts
2008
Tokyo Art University, M.A.Design Arts

Awards

2007
8th SICF, Gran Prix prize, Spiral, Tokyo

Solo Exhibition

2009
"Transplant Baby. The Synthetic Toys in Art of Naritaka Satoh" Exhibition, frantic gallery, Tokyo
2007
8th SICF, Gran Prix Exhibition, "Neutral Grey", Spiral, Tokyo

Group Exhibition

2010
"2010 FRANTIC UNDERLINES", Frantic Gallery, Tokyo
2009
"Extra Real" Exhibition, ULTRA002, Spiral Garden, Tokyo
2009
" My Favorite Things", art project frantic &unseal cotemporary Joint Exhibition,Tokyo
2009
"frantic Collection", art project frantic, Tokyo
2009
10th SICF, Anniversary Gran Prix Artist Exh,"00-08" Spiral, Tokyo
2008
"Artist Show", Group Exhibition, art project frantic, Tokyo
2008
Graduation Works Exhibition, Tokyo Art University Museum, Tokyo
2008
9th SICF, Gran Prix Group Exhibition, Spiral, Tokyo
2007
8th SICF, Spiral, Tokyo
2006
Graduation Works Exhibition, Tokyo Art University Museum, Tokyo
2002
GEISAI 2, Big Sight, Tokyo

毛利太祐

1983
Born in Sapporo
2009
Tokyo Art University, B.A. Industrial Arts

Awards

2008
"Fujino Prize”, Fujino Kinzoku Co.

Solo Exhibitions

2013
"The Resurrections", Frantic Gallery, Tokyo
2012
"The Cracked Portraits", Frantic Gallery, Tokyo

Group Exhibition

2010
"2010 FRANTIC UNDERLINES", Frantic Gallery, Tokyo
2010
"frantic drawings", Frantic Gallery, Tokyo
2009
"Extra Real" Exhibition, ULTRA002, Spiral Garden, Tokyo
2009
"My Favorite Things", art project frantic&unseal cotemporary Joint Exhibition, Tokyo
2009
"Archives", Shinwa Art Museum, Tokyo
2009
"Graduated Works Exhibition of Tokyo Art University", Tokyo Metropolitan Museum of Art, Tokyo
2008
"stop by art", Ueno Station Gallery, Tokyo
2008
"Vessels" Exhibition, Nihonbashi Mitsukoshi Department, Art Square, Tokyo
2006
"plug", LE DECO, Tokyo