2014年4月4日より、Frantic Gallery(東京)とDas Foto Image Factory(ベルリン)は合同展示「Digit((al) (/)Sound(/)Image)(.)」展を開始いたします。本展覧会においては、テクノロジーにもとづくアートとその記録、保存、伝達するメディアとの関係の現在と可能性をもった未来に対する視点を提示します。佐々木睦と村山誠は両者とも最先端のデジタル的表現と強い関係を持つ日本の作家です。彼らが提示するのは、最新テクノロジーでキャプチャーされ変換された未来的なアーバンランドスケープとポストオーガニックフローラに対する彼らの観点を見せます。佐々木はデジタルフォトグラフィーを使用し、モーションと色が溢れる都市の風景を、メガロポリスは蛍光的なパルスと光の痕跡の多数方向のサイバーパンク的楽譜に変形するように撮影しています。村山は植物の構造を研究し、それをデジタル3Dダイアグラムとして制作し、オーガニックな形態からポストヒューマンのメカニカルな性格が全面に出るように再構築します。
数値で記録/保存され、この作家のイメージは内容においても技術においても未来へと向かっており、「Das Foto Image Factory」というフォト印刷会社によって物質的な世界へと運ばれます。数年間にわたり、我々Frantic Galleryは「Das Foto」と仲間と共同で綿密な交渉を重ね、印刷し保存するためだけではなく、印刷テクノロジーをイメージの美上的/デジタル的な性質を強くさせ強固にするための方法を探っています。イメージのファクトリーは佐々木と村山の「デジタル」――それはまた広義の「非物質的」、「無機的」、「人工的」という意味でも理解されるものです「デジタル」――がバイナリーコードとソフトウェアボディから、佐々木の色線のそれぞれのフラクション/村山のそれぞれの測定の数字を支持し支え、彼らの別世界的性格と体のない(非)存在を強化しながら紙の物質に変形される場所となっています。「Das Foto」は出品作家の作品のための物質的なベースを提供する多数の機械を所有しており、観客にとっては「ディジット」が「マテリア」に変わる瞬間と過程を立ち会うことができるスペースとなります。物理的なプレゼンスを提供しながら佐々木と村山のデジタルイメージを紙に焼くファクトリーは、デジタルアート作品とその媒体の間の複雑な関係を示しながら作家の作品のための二か月間の展示スペースになります。
イメージファクトリの反対側(=イメージが物資に入りこんでいくことの反対側)に、我々はStefan Goldmannを、音とそのテクノ-メタモルフォーゼの領域で活動している人物を展覧会に招待します。Goldmannの興味はサウンドとその技術的かつ機材的なシステムの次元に、オーディオコンテンツが記録、保存、配分される方法とその技術の発展の音楽の形自体への影響に向かいます。展覧会の訪問者はデジタルイメージに形を与えるプロセスにある機械を見ら、Goldmannの音楽パフォーマンスを通じて記録機械がデジタルサウンドを生み出し、形を与える方法を聞くことができます。このように我々は佐々木と村山の未来派的な展望をイメージファクトリと同時に、Goldmannがテクノロジーと遊び、その美学的性格を明らかしながらミュジックメディアの140年間へのエクスカーションが行うサウンドファクトリ発現させます。「歴史的な」DjセットはGoldmannによって(印刷機材と出品作品の中に)オープニングレセプションの時に行われ、展示開始後にはオンラインで発表されます。観客であるみなさまには、視覚的と可聴的な次元両方に双方からのアクセスを提供します。
東京とベルリン、美術と科学、未来と過去、メッセージとそのメディアの間にいながら 「Digit((al) (/)Sound(/)Image)(.)」展は21世紀の始まりにとって決定的であるイメージとサウンドが最初の状態から彼らに形を与える媒体に、テクノロジー的プロセスからデジタル時代におけるアートの最終的な存在への道の研究と経験に誘います。
村山誠はコンピューターを用いて生み出された植物図像を制作し、長い歴史を持つ伝統的な花の図譜をデジタル時代へ持ち込みます。近代以前の表現が最先端技術と出会うことで、自然の形態は科学的な鋭さと絡み合い、精密に記述されます。村山は実際の植物と向き合うことで制作を始めます。自身で集めた花を解剖、観察し、スケッチと写真を撮ります。ただ、彼の花々はAdobe IllustratorとPhotoshopによって構成を行い、シンボリックなしるしを創造しながら、3dsMaxソフトを用い、三次元でのグラフィックによって生まれます。彼の作品は「Inorganic Flora」と名付けられており、さらに「Botanical Diagrams」と「Botech Art」に分けられます。「Botanical Diagrams」は特定の花を大きく描くと同時に、植物の学名、部位名、細かな大きさやスケールなどその他の記述が記された作品です。また、「Botech Art」は「Botanical Art」と「Technical Art」を統合した表現で、有機的な形態のメカニカルな要素をあらわにし、植物の繊細さ、生命感や性的な性質を建築的に表現した作品です。
佐々木睦は「同時発生的に多方向に広がる時間の場所」としてメガロポリスをとらえる「Tokyo Layers」と「Shanghai Layers」という写真のシリーズを発表します。佐々木にとって、写真はスティルライフのメディアとしてではなく、反対に都市のような高揚とした「騒がしい光」と「放射される動き」を蓄積するメディアに近いものだということができます。
佐々木は上下に移動するカメラで、20から30秒間の露光時間の中で数回から十数回、光の遮断を行う方法で撮影、制作を行います。出来上がったイメージにおいて、光の伸縮は暗転と合わり、線はリズムを吸収し、連続性は断絶と重なります。都市の超高層ビルの窓から放出される引き伸ばされた光のレイヤーは「東京」/ 「上海」を構成し、鑑賞者を都市に暮らす人々の時間や、撮影された瞬間、あるいは作家の実存性の認識へと導きます。
今日の音楽の殆どはデジタルステレオマスタファイル(楽譜ではなく、パフォーマンスでもない)に最終的な具体化され、16ビット、44.1 kHzサンプリング周波数でエンコードされます。それ以外のものはすべて美学、または秘教です。人間の歴史において初めソニックのフォーマットの特徴の全部のパレットは以前「各楽器へのパート振り分け」であったことの延長として使用可能なものとして存在しています。長く「廃れた」テクノロジーは彼のソフトウェアの後継者の領域に限られ、蘇生されました。彼の進化の利点からではなく、彼の彩りのためです。ビニールの幾何学上の歪み、高周波数圧縮、低周波数をモノにすること、バルブ管特有の調和的な歪曲、以前のテクノロジーを連想させるデジタルのデグラデーション効果などはこのように美学的なツールになってきました。フォーマットは「純粋な」音原と耳の間に入れられたフィルターしかありません。それらはアートとして再び自由になったのです。「Digit((al) (/)Sound(/)Image)(.)」展において、Stefan Goldmannはミュージックプロダクションとパフォーマンスの多数のレイヤーの美学的な形としてのテクニック、音の色づけ、音源ソースとオーディオ結果をジャグリングしながら、デジタルの形式としての記録の140年間の歴史を検証します。
テクノミュージックと概念的なアプローチや電子音響音楽の作曲技法を、既存のジャンルを超えて新たな音楽を予感させるような、驚くべき作品へと結びつけている。重点をなすのは、「リズム体系」、「技術的な型に関連した作曲法」、そして「一見相容れない要素を組み合わせること」である。スタジオでのエレクトロミュージック制作を中心に手掛ける傍ら、近年、器楽奏者や振付家とのコラボレーションも数多く行っている。また最近では、音楽経済学や音楽社会学に関する論文も執筆しており、注目を集めている。ベルリンの大学でアコースティック・コミュニケーションを学んだ後、世界の著名レーベルから数多くの録音を発表。2007年、自身の音楽レーベル「Macro」を設立し、音楽雑誌「De:Bug」にて「アヴァンギャルドテクノのトップ・レーベル」と絶賛された。レーベル「Macro」からリリースするアーティスト達の発表の場として、ロンドン、パリ、ワシントン、東京などでコンサートを開いた。また、DJとして世界各国のフェスティバルやクラブで活躍し、ライブシリーズ「エレクトロ・アコースティック・サロン」の企画構成を手掛けたベルリンのクラブ・ベルグハインと深い絆で結ばれている。自身の作品は、「Groove」、「Resident Advisor」、「LWE」などのメディアの年間読者投票ランキングに度々入っている。これまで、マンハイム州立劇場やBASF文化プログラム等の委託を受け作曲を行う。